おそらく、長くて、わかりにくい記事です。
ココログ広場からいらした方(が大部分だと思いますが)は、おそらくケベックに興味がないのではないかと思うので、最後の一、二段落だけ読んでいただければ、と思います。
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ジャン・シャレケベック(州)首相が日本から中国へ向かったようです。日本での滞在についていろいろ報告(プレスリリース、コミュニケ)が発表されましたが、日本の発表とケベックの発表では少し色合いが違ったので、「面白いなあ」と思いました。
ということで、今回はこの違いについて書きたいと思います。
そして次回の記事では、ケベックでの野党第一党のケベック党(パルチ・ケベッコワ)がコミュニケを出したので、それについて書いてみようかなと思います。
フランス語・フランス語圏の勉強になると良いのですけれど…どうでしょう。
それから、題名に書きましたが、PLAN NORD(プラン・ノー、直訳すれば、北部(北方)計画(プラン))ですが、「北部開発プロジェクト」と翻訳されていますね。これについてですが、PLAN プラン には、「国家規模の政策、総合政策」という意味があるようです。日本語では、「開発プロジェクト」と訳され、「開発企画」「鉱山開発」的なニュアンスが漂っていますが、実際には、国家(ここではケベック州のことですが)を挙げて、北部地域を変えようという計画のようです。つまり、単に、道路を作って、鉱山開発をするというわけではないようです。行政システムから変えるようです。ここらへんが日本語で伝わっていると良いですけれど…ちなみに日本語名の「北部開発プロジェクト」をフランス語に訳してみると、Projet(s) de développement du Nordとでもなるのでしょうか。後で、訂正すると思いますが。
それから、どこかで( http://www.ntv.co.jp/fredericback/2957.html 「フレデリック・バック」展のサイトでしたでしょうか)、ケベックの方のMonique Gagnon-Tremblayという名前のGagnonのところを、ガニオンと書いてあったのですが、ガニョンと発音しないと通じにくいかな、と思いました。
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ということで、
日本の外務省の発表です。アドレスは以下の通りです。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/press/release/23/8/0825_08.html
ジャン・シャレ・カナダ国ケベック州首相による松本外務大臣への表敬
平成23年8月25日
8月25日(木曜日)午前10時から約30分間,松本剛明外務大臣は,訪日中のジャン・シャレ・カナダ国ケベック州首相(The Honourable Jean Charest, Premier of Quebec)による表敬を受けました。概要は以下のとおりです。
シャレ・ケベック州首相から,東日本大震災の被災者へのお悔やみが述べられ,ケベック州議会において満場一致で可決された「日本国民への連帯推進に係る動議」の写しが松本外務大臣に手渡されました。これに対し,松本外務大臣から,ケベック州議会動議やカナダ政府からの支援に謝意を表し,東日本大震災でケベック州民1名が被害に遭われたことにつきお悔やみを述べました。また,カナダが,世界に先駆けて日本産食品等への追加的輸出規制措置を完全撤廃したことを高く評価し,日本は引き続き「開かれた復興」を目指している旨述べました。
また,シャレ・ケベック州首相から日カナダEPA推進及び同州の「北部開発プロジェクト」について説明があり,経済面で連邦政府と協力しつつ日カナダ関係を更に強化してきたい旨述べました。これに対し,松本大臣から,日カナダEPAについては,共同研究が着実に前進していることは喜ばしい,また「北部開発プロジェクト」は,ケベック州の開発と発展につながるものとして期待するとして,経済分野の関係強化を通じた一層の友好関係の発展に期待する旨述べました。
ということで、震災のと、経済について会話があったことが書かれています。
詳しく書けば、以下の四点かと思います。
1ケベック(州)から東日本大震災の被災者へのお悔やみ(ケベック州議会において満場一致で可決された「日本国民への連帯推進に係る動議」の写しを手渡す)
2日本からは引き続き「開かれた復興」を目指すとの意思表示
3日カナダEPA推進
4「北部開発プロジェクト」
「ケベック州議会において満場一致で可決された「日本国民への連帯推進に係る動議」の写し」についてなのですが、ハイチが地震に襲われたときには、ケベック州政府はすぐにお金を出したようですが…。日本へはお金を出さなかったようですね。ケベック州にはハイチからの移民が数多くいるので、それに配慮してのことだと思いますが。
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一方ケベック(州)政府のコミュニケのほうは、以下の通りです。
アドレスは以下の通りです。
http://www.premier.gouv.qc.ca/actualites/communiques/2011/aout/2011-08-27.asp
題名は
Jean Charest rencontre le gouverneur de Koyto et dresse un bilan positif de sa mission
とのことで、
「ジャン・シャレが京都府知事と会い、訪日について肯定的な見解を示す」とでもなりますでしょうか。もしくは、「肯定的な評価を下した」でしょうか。なにはともあれ、「来て良かった」と思っていただけたようで、良かったです。
最初に一言だけ…フランス語の文章に過ちがあります。
Au cours des quatre jours de la mission, le premier ministre à eu l'occasion de rencontrer plusieurs décideurs politiques.
というところなのですが、
Au cours des quatre jours de la mission, le premier ministre a eu l'occasion de rencontrer plusieurs décideurs politiques.
ですね。動詞 a と前置詞 à は違うので…
ということで、かいつまんで訳してみます。文法や語彙が変な(間違っている)可能性が高いです。人名や役職名が間違っていないと良いのですけれど…。
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2011年8月27日土曜日 京都
ジャン・シャレケベック(州)首相は、今日、京都府知事であり、全国知事会会長でもある山田啓二氏と会合し、日本滞在を終えた。
この会合で、ケベック・日本の関係、プラン・ノー(「北部開発プロジェクト」)、地球温暖化に対する対応について主に話し合った。2008年に、ケベック(州)政府と京都府は環境・教育・経済関係の分野において協力し合うとの共同声明に署名し、経済関係については、その後、ラヴァル大学と京都大学が共同研究をするに至っている。
それから、首相(ジャン・シャレケベック(州)首相)は、日本滞在について肯定的な見解を示した。四日間の日本滞在で、首相は有力政治家数名(枝野幸男内閣官房長官、松本剛明外務大臣、池田元久経済産業副大臣、横路孝弘衆議院議長、山田啓二京都府知事)との会合の機会を持った。
首相は「ケベックと日本をつなぐ絆は、ケベック州東京代表事務所が今年設立40周年を迎えることからわかるように、緊密である。今回の幾つかの会合で、この絆をさらに深める計画について話をする機会を得た。これらの会合が日加間の経済協力関係についての話し合いであろうと、プラン・ノー(「北部開発プロジェクト」)を紹介する機会であろうと、この関係はケベッコワ(ケベックの人々)にとって豊かさの元となり続けるだろう」と述べた。
政治関連の会合のほかに、首相はla Chambre de commerce Canada-Japon(と書いてあるのですが、情報が見つかりません。これについては後で…http://ajeq.blog.so-net.ne.jp/2011-08-26 きいろひわ註)主催の講演会で、175人ほどの、多くが実業に係わる聴衆を前に講演を行った。また、金融業界関係者や大企業の代表者など、ケベック(州)に投資する可能性のある人々と会った。
首相は、三菱(自動車?)の経営陣と会った。イドロ・ケベック(ケベック(州)の電力会社、水力発電が主なので、イドロ(「水」の意)という言葉がついています:きいろひわ註)と三菱は電気自動車を共同開発しているところだが、首相は、電気のみで走るMIEVに試乗した。また、ケベック(州)の芸術家フレデリック・バックの作品に捧げられた『木を植えた男』展覧会を訪れた(参照 http://www.ntv.co.jp/fredericback/2957.html 東京都現代美術館で開催されている「フレデリック・バック展」のことだと思います。きいろひわ註)。
今回の訪日は、1999年以来初めてのケベック(州)首相の日本訪問となる。日本は、ケベック州政府にとって、中国・インドと共に、アジアで関係強化を狙う国である。ケベックと日本の関係は、ケベック(州)の文化発信と、ケベック(州)の経済の活性化と多様化に係わっている。アジア太平洋(アジア、オーストラリア、太平洋上の島国などで構成される地域のようです きいろひわ註)において、中国だけが、ケベック(州)製の製品を日本よりも多く買っている。とはいえ、日本は、アジアで、付加価値のある製品の輸出部門では、一番の市場である。日本へは、近年、二つの輸出部門が成功を収めている。ひとつは、農産物加工業で、もうひとつは航空宇宙産業である。豚肉は日本向けの最大の輸出品であり、日本への輸出の三分の一以上(37パーセント)を占める。
首相のこの訪日は、日本では大きくメディアで取り扱われた。la Chambre de commerce Canada-Japon主催の首相の講演会は、日本の新聞などで記事となった。日刊紙の日本経済新聞と朝日新聞が、幾つか記事を載せたが、この二つの新聞に記事が載っただけでも、一千三百万人が記事を読んだことになる。
首相は、現在、8月28日から9月2日までの日程で中国に滞在している。中国では、中国との関係を強化したい70ほどの企業や組織と行動を共にする予定で、北京・済南・上海に滞在する。
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ということで・・・
la Chambre de commerce Canada-Japon主催のジャン・シャレ首相の講演会についてですが、la Chambre de commerceCanada-Japonにあたる日加商工会議所のサイト(カナダのブリティッシュコロンビア州で活動が盛んなようです)にはぱっと見に情報がありませんでした。ですので、在日カナダ企業がつくる商工会議所(CCCJ、フランス語名で、Chambre de commerce du Canada au Japonというようです。インターネット上のホームページのアドレスは、http://www.cccj.or.jp/cccj/contents/home/?language=english )だろうかといろいろ検索しました。そうしているうちに、日本ケベック学会のブログに行き当たりました。アドレスは、http://ajeq.blog.so-net.ne.jp/2011-08-26です。学会です。商工会議所ではないです。どういうことなのでしょう・・・?どうやら、日刊産業新聞による説明(http://www.japanmetal.com/back_number/news/newsidh2011082601.html)がわかりやすそうです。引用します。
訪日中のカナダ・ケベック州のジャン・シャレ首相は25日、東京・紀尾井町のホテルニューオータニで、四半世紀にわたって開発中の「北部開発プロジェクト」について「持続可能な開発の新たなモデル」をテーマに講演した。
首相は、エネルギー、鉱業、森林、バイオフードなど多様な同プロジェクトの概要を紹介するとともに、とりわけニッケル、金、リチウム、鉄鉱石など豊富な金属鉱物資源の賦存状況を取り上げ、これまで同プロジェクトに800億ドル超、エネルギー資源に470億ドルが投資されたと述べ、日本からの投資に期待を寄せた。同プロジェクトは今後数十年間継続される。講演会には非鉄、商社、銀行、大学、外務省、経済産業省、在日カナダ大使館など約200人が出席した。
なのだそうです。ということで、とりあえず、「東京・紀尾井町のホテルニューオータニ」での講演会で、「非鉄、商社、銀行、大学、外務省、経済産業省、在日カナダ大使館など約200人が出席した」ようです。主催が何であれ、わかってよかったです。
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それから、日本の報告では話題になっている震災のお悔やみの話が、ケベックの報告のほうでは、全然出てきていません…
日本の発表のほうで、ケベックの州民がひとり犠牲になったとあるのですが、この犠牲になった方は、アンドレ・ラシャペルAndré Lachapelleさんという方で、ミッション・エトランジェー la Société des Missions-Étrangères の方(宣教師)で、1961年から日本にいらっしゃった方のようです(享年76歳9ヶ月)。地震が起きたとき、仙台にいらしたようなのですが、自分のいつもいる場所(塩釜)が心配だからと帰ろうとして、途中で心臓発作を起こしてしまったのだそうです。(参考にしたサイトのアドレス
http://www.smelaval.org/fr/pays/japon/pme-mort-au-japon )
ということで、記事は終わりです。長くなってすみません。
プラン・ノー(「北部開発プロジェクト」)については、以下のサイトも参考になります。
http://www.jogmec.go.jp/mric_web/current/11_42.html
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