ピエール・ファラルドーさん ケベックの映画作家 エルビス・グラトン II メンフィスの奇跡
「エルヴィス・グラトン II メンフィスの奇跡 Elvis Gratton II Miracle à Menphis 」は、1999年に公開されたピエール・ファラルドーの映画です。1995年の第二回目のケベック・レフェランダムによって、独立よりもカナダに留まる事を住民が選んだことで終わり、ケベックの独立がまたもや叶わなかった後で、作られた作品です。
この1995年のレフェランダムに関しては、本当の僅差(独立賛成が49.4パーセント、独立反対が50.6パーセント)で、カナダ政府がこのレフェランダムの直前にいろいろな活動をしたことが問題になりました。直接的なものとしては、独立反対キャンペーンなどです(これについては既に調査されました)が、おそらく、移民関係でもなにかあったのではないかと言われているようです。(移民は、多くの場合、カナダにケベックが留まるのに賛成です。)それが、独立が否決されたときに、ジャック・パリゾー Jacques Parizeau の台詞「エスニック票と金に負けた」といったような台詞に表れているとか、いないとか…(ちなみに、原文は「"C'est vrai, c'est vrai qu'on a été battus, au fond, par quoi? Par l
ですので、この作品でも、エスニック(移民で、フランス語話者でも英語話者でもない人たち)やお金がテーマとして取り上げられています。(ちなみにエルヴィスは金遣いが荒く、人種差別主義者ですが、人種差別も理論だったものではなくて、「単に嫌い」という感じの差別です。)
DVDなどが手元にないので、内容は、ウィキペディアのElvis Gratton II : Miracle à Menphisからとりました。この記事は後で編集しなおすつもりです。
内容は Elvis Gratton King des Kings と同じで、短いエピソードのつながりでドタバタギャグやみっともないギャグが続きます。
エルヴィス・ボブ・グラトン(エルヴィス・グラトン)は、3日間死んでいたのですが、病院で生き返ります。イエス・キリストの例から2000年経って、初めて生き返った(復活した)人間として、エルヴィス・グラトンは病院でいろいろな実験を受けます。そして、世間の注目を浴び、エルヴィス・グラトンは、友人でもあり義理の兄弟でもあるメオさんと、のんびり田舎で暮らし始めますが、そこで、アメリカ人のプロデューサードナルド・ビル・クリントンと出会い、ロックスターとなり、世界中でショーを開きます。ショーは成功し、エルヴィス・グラトンは金持ちになって、ファースト・フードという名前のレストランチェーンを作ったり、サンテレーヌ島(聖エレーヌ島)を買って、そこに巨大遊園地を作ったりします。そして、最後は自分の自伝を出版して、サイン会を開くところで映画は終わります。(ちなみに奥さん(メオさんの姉妹)のリンダさんは、U.F.O.にさらわれて、死んだはずの方のたくさん暮らしている場所にいて、一回だけ、エルヴィス・グラトンに電話をかけてきます…)(それから、サンテレーヌ島は、モンレアル(モントリオール)にあるラ・ロンド La Ronde という遊園地だと思います…)
カトリックの影響のあるケベックなので、まず、キリストのことを思い返させることは仕方ないかと思います。アメリカ人の名前やレストランチェーン店の名前などから、皮肉がわかるかなとも思います。エルヴィスの舞台衣装や舞台が、広告や商品で覆われているのが笑えます。また、エルヴィスの運転する喋る車が、エルヴィスを馬鹿にするあたりも笑えます。映画の最後で、人種差別意識のあるエルヴィスがその意識を変えることなく、最後に中国系カナダ人の求めに応じて、自伝にサインをするあたり、なんとなく、ぞっとします…
ピエール・ファラルドーさんは映画で中国人を出しますが、どうやら、彼自身は中国人が嫌いでないようです。中国語の書かれたTシャツを着ていたこともあります。また、彼自身は私生活で、英語話者が嫌いというわけではないみたいです。彼の別荘は、英語話者の別送の隣にあったそうですが、仲良くしていたようです。映画における中国人については、ケベックの連邦主義者の欺瞞を暴くために使っていた小道具のようなものでしょうし、英語話者については、日常生活で出会う一個人と政治で対立する集団は別という考えだったのかな、と思います。ここら辺は私にはよくわかりませんが…。
« Amélie Nothombの「Stupeur et tremblements 畏れ慄いて」を見て | トップページ | 100円ショップ(?)の絵の具 »
「フランス語圏」カテゴリの記事
- 少し不思議な気がします(2012.02.01)
- クリスマスの曲 ケベック(2011.12.15)
- ケベック(州)の北方開発プロジェクトに関連して見つけた記事 5(最後)(2011.10.23)
- ケベック(州)の北方開発プロジェクトに関連して見つけた記事 4(2011.10.22)
- ケベック(州)の北方開発プロジェクトに関連して見つけた記事 3(2011.10.22)
« Amélie Nothombの「Stupeur et tremblements 畏れ慄いて」を見て | トップページ | 100円ショップ(?)の絵の具 »
コメント